Google 無料リスティング

Googleに無料で自社商品が掲載できる「無料リスティング」とは?

Googleに無料で自社商品が掲載できる「無料リスティング」とは?

新型コロナウイルスによって私たちの外部環境は大きく変わり、新しい生活様式のもと、オンライン情報が生活者の意思決定・購入促進に及ぼす影響力は急速に高まっています。
これらの背景から、EC事業に取り組む新規ショップは右肩上がりで増加、オンラインの集客施策は各社の重点テーマとなっています。

EC事業者が増えることで、これまでの施策だけでは通用しなくなり、新しい時代の自社EC運営体制構築に向けて「自走しながら試行錯誤できるプレイヤー」が勝つ時代がやってくるでしょう。

自社ECサイトを運営する中で、最も重要なことの一つが、GoogleやFacebook等の大手プラットフォーマーの最新機能を把握し、使いこなすことで、集客を効率的に行っていくことです。

特に難易度の高い自社EC集客施策においては、各プラットフォーマーの思想と方向性を理解した上で、提供される機能を最大限活用し、効率的にサイトへの集客につなげていくことが重要になります。

各プラットフォーマーは、新型コロナウイルスの感染拡大で世界的にECの普及が進む中、EC事業者向けの支援施策を拡充しています。
中でも、販売事業者と生活者を繋げる役割を果たす検索エンジンの重要性はこれまで以上に高まってきています。

そして、2020年10月にGoogleから公開された新機能が、Googleショッピングタブに無料で商品掲載ができる「無料リスティング」です。

Google無料商品掲載サービスの総称
正式名称:無料リスティング(英名:free listings)

旧名称:Google 掲載(英名:Surfaces across Google)

今回は、この新機能「無料リスティング」の概要や利用方法、押さえておきたいポイントについてお伝えしていきます!

Googleショッピングの今までを振り返る

Googleは、Google上に存在する多くの商品購入ニーズと、その商品を取り扱うEC事業者がマッチングする機会を増やすことを常に考えています。

従来、Googleに商品を掲載するためには、有料のGoogle ショッピング広告を利用する必要がありました。
Google ショッピング広告は、ユーザーの検索語句に連動して、Googleの検索結果やショッピングページに表示される「検索連動型広告」のジャンルに属します。

商品名や商品の価格、ショップ名などのテキスト情報とともに商品画像が表示され、かつ検索画面の上部に大きく表示されるためクリック率が高いといった特徴があります。

これまでもGoogleはこの有料のGoogle ショッピング広告における商品掲載のネットワークを徐々に広げていました。
Google検索結果においては、「すべての検索結果」だけでなく、「ショッピング」タブや、「画像」タブの検索結果にも表示されるようになっています。

また、スマートショッピングキャンペーンを利用することにより、GmailやYouTube、Discovery上にも広告が掲載されるようになり、ユーザーが商品を欲しいと思った瞬間に、購入まで行える場所が徐々に増えています。

Google ショッピング広告の掲載場所

なぜ、Googleはこのタイミングで無料リスティングを公開したのか?

元々、Googleは数年以内にGoogleショッピング広告を一部無料で提供するという計画自体は既にありました。
このタイミングで無料リスティングを公開した2つの理由、その狙いを解説していきます。
1つめの理由は、2020年の新型コロナウイルスの流行によって、人々の生活環境が大きく変化したことです。実店舗での販売は制約され、全世界でECの需要が急拡大しています。
また、資金繰りが悪化し、広告を出稿したくてもできない中小の事業者が全世界で増加しました。

そのため、Googleは、この「無料リスティング」の機能を、当初の計画よりも前倒しでリリースし、できるだけ多くの小売業の助けとしたかったのではないかと考えられます。

2つめの理由は、競合するプラットフォーマーへの対抗策です。
Facebook・Instagramが先行して商品の無料掲載が可能なショッピング機能を提供して、多くのEC事業者が商品掲載を開始したこと。
また、Amazonへの対抗策の一環であると考えらえます。

Googleは無料リスティングを提供することで、より多くのEC事業者の参加を促してトラフィックを獲得したい、しかもまずは無料リスティングから始めて、最終的にはショッピング広告への利用に促したいという思惑があるのではないでしょうか。

Googleに無料で商品掲載できる「無料リスティング」とは?

2020年10月、Googleは従来、Google ショッピング広告の掲載場所であった「ショッピング」タブに「無料リスティング = 無料枠」を新たに設ける機能を公開しました。
これにより、Google 検索にサイトがインデックス登録されても料金が発生しないのと同様に、EC事業者は無料で利用可能になりました。

「無料リスティング」掲載にあたり、従来のショッピング広告 = 有料枠と最も異なるのが、「広告予算とその規模(入札金額、1日の予算)に依存しない」という点です。
つまり、このプログラムに参加する全てのEC事業者が同じ条件下であるということを意味しています。

楽天やAmazonのようなECモール、大手ECサイトに対して、しっかりとポイントを押さえてユーザーニーズに合わせた改善を図っていくことで、自社商品を検索結果のトップで訴求することができます。

自分たちの工夫次第で知恵を絞って行動していけば、中小規模のEC事業者でも十分勝てることこそが、無料リスティングの本質的な提供価値であると言えます。

Google 無料リスティングの掲載場所

Google検索結果の中でどこが無料になったのか?

続いて、Google検索結果の中で「どこが無料になったのか」、既存のショッピング広告への影響についても図も交えながら、わかりやすく解説していきます。
まずは、下図をご覧ください。
Google検索結果のタブ(左から2列目)に「ショッピング」という場所があります。
今回、この検索結果上に無料枠が新たに登場しました。
そのかわり、ショッピング広告の枠が少なく、小さくなっています。

ショッピングタブの無料リスティングにおける変更点

各デバイス(PC、スマートフォン、タブレット)いずれも1番目立つファーストビューに掲載されます。
1段目がGoogleショッピング広告(有料枠)、2段目が無料リスティング(無料枠)という並び順になっています。
※場合によっては無料リスティングが上、ショッピング広告が下になるケースもあります

“Google ショッピング広告が無料で掲載できるようになった?”
このような表現をされている記事などが一部Web上にありますが、これは間違っています。
あくまで、今回変更されたのは、「ショッピングタブ」の”一部”に無料の枠が追加されたということになります。

「 無料リスティング」の気になる効果は?

まずは、2020年4月に先行して導入されたアメリカ本国での導入効果実績を見てみましょう。

ショッピング タブの無料リスティングとショッピング広告を併用した場合、

平均でクリック数が50%以上(1.5倍)
表示回数数が100%以上(2倍)

増加しているデータもあり、特に中小企業では大きな増加が見られます。
(引用:公式ガイド資料より | Google広告

また、1日3,000クリック近く発生している事例も出てきています。

(引用:Matt Umbro氏による投稿 | Twitter

日本では2020年10月にリリースされたばかりなので、これから導入実績が出てきます。
参考になりそうな事例が出てきた際は、別途ご紹介していきます。

「無料リスティング」の表示を確認してみよう

やはり、1番重要なのは自分自身でユーザーとして体験してみることです。
皆さん、お手元のスマートフォン、PC、タブレット端末のいずれかを用意してください。今回は、モバイル主流の時代なのでスマートフォンを例に説明します。

皆さんが気になるキーワード(自社商品と関連するキーワードなど)で検索してください。
例えば、「カニ お取り寄せ」の場合

「カニ お取り寄せ」でGoogle 検索
※赤枠の部分は有料枠 = Google ショッピング広告です

Google ショッピング広告の掲載サンプル画像

検索結果のタブがあります。
続いて、2列目「ショッピング」を押下してください
「カニ お取り寄せ」の関連商品が一覧で表示されます(美味しそう・・)
Google ショッピング広告のショッピングタブ 掲載サンプル画像

最後に、無料掲載がどこかを判別する方法を紹介します。
画面右上の「概要」と記載がある箇所から下が無料掲載枠です。
Google ショッピング広告の無料掲載枠の判別方法

広告 = Googleショッピング広告(有料枠)
概要 = 無料リスティング(無料枠)

「無料リスティング」掲載の仕組みと考え方を解説

次に、気になる無料リスティング掲載の仕組みについて説明していきます。
仕組みとしては、いわゆる「検索連動型」と呼ばれるジャンルに含まれます。

生活者がGoogle検索ボックス上に打ち込む「検索語句」に対して、Googleが関連性が高いと判断した商品を掲載します。

上記の”関連性が高い”の部分ですが、Googleはどのように判断しているのでしょうか?
Googleが表示回数を増やす方法や順位を上げる方法は一般に開示されてはいませんが、基本的な考え方を理解しておくことが、自社商品をGoogle上でトップ掲載させるためには不可欠です。

入札金額が関係ない無料リスティングにおいては、こちらの2つのポイントを実際に意識して設計することが、上位掲載される可能性を高めるためには有効です。

Google 無料リスティングにおける考え方

いかにユーザーの検索意図を捉えて、それを商品の情報(商品マスタ)の中に含めていくか。また、掲載クリエイティブのクリック率改善に向けて動いていくことが重要です。

具体的な掲載結果の改善方法は別記事でご紹介したいと思うので、お楽しみに!

「無料リスティング」の始め方

これまで無料リスティングの特長、仕組み、仕様について説明してきました。
では、どのようにして無料リスティングを始めることができるのでしょうか?
図解を交えながら、わかりやすく解説していきます。

配信までの流れを確認しよう
必要な作業は、大きく5つのステップに分けることができます。

無料リスティング 配信までの流れ

  1. Google Merchant Centerのアカウントを開設する
    アカウント開設ページから必要事項を登録し、Google Merchant Centerを開設します
  2. サイトの認証
    Google Site Verificationタグを設置して、Google Merchant CenterでECサイトを認証する
  3. 商品データをGoogleが求める仕様に合わせる(データフィード)
  4. データフィードをGoogle Merchant Centerに送信する
  5. Google Merchant Center 側で審査が行われる
    Google Merchant Center上で、「Google 掲載」のプログラムを有効にし、審査を通過させる

特に、上記の3~4の作業が非常に難しく、途中で諦めてしまう事業者も多く見受けられます。
Google Merchant Center 側が行う商品の審査は1度行えば良いものではありません。
在庫切れや新商品の追加等が発生するたびに、最新の商品データを送信し続ける必要があります。

30日以上商品の更新が行われない場合、審査が不承認になってしまう可能性があるほか、商品データの変更がない場合でも、毎日商品データをGoogleに送信するほうが、Googleの商品の評価にも好影響を与えると言われています。

また、Googleは1商品ごとにGoogle上への掲載の審査を行っていて、Googleの定める掲載ポリシーに沿っているかを確認しています。
この審査に落ちると、その商品が掲載されないだけでなく、最悪の場合、アカウント全体が不承認となってしまう場合もあります。

そのため、Google Merchant Centerは、Google Search Consoleなどの他のGoogleの持つ仕組みに比べても、作業の難易度が高く、かつ、定期的な確認が必要で運用コストがとても高くなることが想定されます。

ただサイトを運営していても、Google上に商品は掲載されず、Google Merchant Centerの管理が必須になるということです。
事業者にとっては、さらに管理する場所が増えて大変になってきます。

「無料リスティング」で必要となる商品フィードの仕様

続いて、正しく商品が掲載されるためにはルール = 仕様を理解しておくことが重要です。

無料リスティング掲載は2種類ある

無料リスティング掲載は大きく2つの種類に分けられます。
この違いは「表示機会が多く見込める初期設定ができているか」です。

標準リスティング
必要最低限の設定のため、表示機会が少ない
拡張リスティング
より豊富な商品データを提供することで、表示機会が多く見込める

具体的には、Googleに対して提供する商品データの属性数と内容によって、表示機会が変わります。

標準リスティング
最低限必要な属性のみをGoogleに提供している場合はこちらが適応されます

id [ID]
title [商品名]
link [商品リンク]
image_link [商品画像リンク]
price [価格]

拡張リスティング
コンテンツ量が豊富な形式でショッピング タブに表示されるので、流入数が増えて販売が促進されます。

  • すべての商品で必須
    • description [商品説明]
    • availability [在庫状況]
  • 中古品ごと、再生品で必須
    • condition [状態]
  • ブランドまたはメーカーが明確に関連付けられた商品ごとに必須
    • brand [ブランド]
  • メーカーによって GTIN が割り当てられているすべての商品で必須
    • gtin [gtin]
  • メーカーによって GTIN が割り当てられていないすべての商品で必須
    • mpn [製品番号]
  • 商品がマルチパックの場合に必須
    • multipack [マルチパック]
  • 商品が一括販売の場合に必須
    • is_bundle [一括販売商品]
  • ファッション・アクセサリーの場合に必須
    • color [色]、size [サイズ]、age_group [年齢層]、gender [性別]
  • 商品バリエーションで必須
    • item_group_id [商品グループ ID]
  • Merchant Center で送料設定をオーバーライドする必要がある場合に必須
    • shipping [送料]
  • Merchant Center でアカウントの税金設定をオーバーライドする必要がある場合に必須
    • tax [税金]

特に重要なのが、拡張リスティングは送料をあらかじめ設定することが必須です。
商品データ(商品フィード)で shipping [送料] 属性を使用して送料を設定するか、アカウント単位で送料を設定する必要があります。

広告掲載対象外のショッピング コンテンツ

下記の商材に関しては、現時点で無料リスティングに掲載不可となっています。
詳細はGoogle公式ヘルプページよりご確認ください。
特に、定期購入商品を取り扱う場合、基本的には掲載不可となってしまう点が要注意です。

定期的な請求(定期購入関連)
ユーザーが商品やサービスを定期的に購入し続ける支払い商品
サービス
商品として形が残らないもの
チケット販売
乗り物
金融商品
通貨
オープンループのギフトカード
不動産

商品点数の制限はあるか?

無料リスティングにおいて、商品点数の制限はありません。
1商品から始めることもできますし、数千~数万商品のラインナップがあるEC事業者でも利用可能です。

Google Merchant Center や商品フィードを管理する方法

このGoogle Merchant Centerの管理方法として、下記2つがあります。

  1. ご自身でGoogle Merchant Centerを開設し、管理する
  2. EC Boosterのエントリープランを使用する

Google Merchant Centerの管理では、
・定期的に商品データの更新を行わなければいけない
・商品の審査状況を確認し、必要な商品データの修正を行わなければいけない
ことから、とても難易度が高いものでもあるので、ご自身が現実的に対応できる範囲を見極めて、管理方法を選ぶ必要があります。

掲載が始まったらレポートで確認してみよう!

掲載結果の確認方法をご紹介します。

Google Merchant Center にログイン後、左のタブ「マイレポート」を押下すると掲載結果が確認できます。
現時点ではクリック数を軸に商品別 / ブランド別 / カテゴリ別で確認可能です。

Google 無料リスティング_Google Merchant Center 管理画面

Googleショッピング広告は不要になるのか?

「無料リスティング」の登場によって気になるのが、既存の「Google ショッピング広告」が今後どうなるのか?という点です。

結論としては、「Google ショッピング広告は無くならず、むしろ戦略的な活用がより重要になる」と考えられます。

例えば、Google検索結果の「すべて」のタブに商品を掲載することは、現時点ではGoogleショッピング広告でしか行えません。「ショッピング」タブでも、表示面積が以前よりも小さくなったものの、多くの場合で無料枠より優先して広告が表示される仕組みになっています。

そのため、どのような形でGoogle上に商品を掲載するのかは、自分たちの予算規模等によって選択できるようになり、事業者側で適宜判断する必要があると考えられます。

無料枠の拡大を見据えるGoogleの今後の展開

次に、プラットフォーマーとしてのGoogleの狙いを考察していきます。
Googleは無料リスティングを公開することで、「Google × 無料商品掲載」というパワーワードをフックにして、EC事業者の商品データを大量に集めて、さらなるユーザー体験の向上・また広告収益から決済に繋げていくシナリオを描いていると考えられます。

Google Merchant Center への接続アカウント数を飛躍的に伸ばす手段としての無料リスティング、そして無料枠を拡大していきながら、有料のショッピング広告利用に繋げていく布石であると言えます。

続いて、この無料掲載枠を今後、Googleはどのように広めていこうと考えているのか、について解説していきます。

Googleは無料掲載枠を今後、「すべての検索、画像検索」などに広げていく方針を既に発表しています。つまり、無料掲載枠で表示される場所が2倍、3倍・・と増えていく可能性が高いということです。
※有料での Google ショッピング広告の掲載枠も引き続き存在します。

【オススメ】EC Boosterの「エントリープラン」を活用する

無料で行える施策なので、まさに「やらない理由がない」EC事業者にとっての必須施策になります。一方で、Google Merchant Centerの開設、管理など、事業者の工数はさらに増えていく一方。

そこでおすすめなのが、EC Boosterの「エントリープラン」の活用です。
EC Boosterの「エントリープラン」は、下記3つの機能があります。

  1. かんたん出稿・自動運用機能
    最短5分の初期設定で、お使いのECサイトから自動出稿。運用の手間もかかりません。
  2. 出稿ステータス通知機能
    商品掲載時の不承認をお知らせ、併せて解決方法もガイドし機会損失を最小化できます。
  3. 商品データ改善アドバイス機能 ※順次提供予定
    EC Boosterの改善ノウハウやAI による分析に基づき、お客様に最適な商品データ改善方法をアドバイスします。

EC Boosterは既にGoogle ショッピング広告運用で1,000社以上の導入実績を持ち、Googleにおける商品活用の第一人者です。
この機会にぜひ、EC Boosterで「無料リスティング」を始めてみましょう!

Google 商品掲載・自動運用サービス「EC Booster」とは?

「EC Booster」は、「無料リスティング」での無料の商品掲載や、Google ショッピング広告の運用を自動で行う自社 EC 集客サービスです。
主要ECシステム(futureshop/MakeShop/カラーミーショップ/ショップサーブ)と連携することで、Google の検索結果画面に画像付きで自社商品を訴求することが可能です。

EC Booster サービスサイト

この記事を書いた人
川田 智明

株式会社フィードフォース

入社以降、複数事業の立ち上げ~事業拡大を担い、得意領域は「集客業務の自動化」。
Google社主催セミナー登壇をはじめとする講演活動、書籍執筆など業界内における普及に向けても活動中。
著書「いちばんやさしいデータフィードマーケティングの教本」

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